行き止まりの喜び 



もうこの先へ進めない、ということが、
唐突に、喜びとなることがある。

絶望にならない行き止まりというものが、
どこかに、確かにあって、
その喜びは唐突に訪れ、
緩やかに消えていく。

その喜びは向こう側からやってきて、
向こう側へと還っていくものであって、
こちらから目指すものではないらしい。

柵の外 

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柵の外に 出る ということが
どれほど 難しくて
どれほど 孤独であるか ということ

桜と目が合う 



年を取り
冬を 終わらせる 力に
見られている

体調を崩した際に見る悪夢のような 

開発は進む。

開発を逃れた自然は、
日に日に狭まっていく。

人口は減る。

狭くなった自然を切り取ると、
これが百年前の風景なのか、
百年後の風景なのか、
よくわからなくなる。



この、体調を崩した際に見る悪夢のような風景が、
いま現在の風景、ということになる。

進めない道 

進めない道しかなく
道の先も ない

進めない道 しかない

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