ブッククラブ回に作品補充 

南青山のブッククラブ回に舟沢作品を補充しました。
通販でも、直接行っても、
以下の作品が購入できます。

・否定の果て
・夜明け前双つ
・蝉丸の為の音楽
・月化粧
・緑
・底の方は少し固い
・夜の彼岸

よろしくお願いします。


↑直接行くと こんな看板です (入り口の右に大きな赤いピラミッドあり)
追記/補足を読む

わかり始めてみても 

色彩にはいくつかの見え方があるが、
私にはある種の見え方がよく分からなかった。

「紫色が人に与える落ち着き」とか、
「カンディンスキーは黒がうまい」とか。
こういった話は、
明らかにある一定の色彩の見え方なのだが、
その種の見え方が、忽然とわからないままでいたのだ。

それが、最近、わかるようになってきた。

だが、それがいいことか悪いことかは、わからない。
その種の見え方がわからない、ということが、
私という人間を形づくっていたのだから。

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行きつけの美容院に、
絵画状のオブジェが飾ってある。
色をつけた薄い鉄板を編み上げて、
抽象絵画のように平面にした作品。

何もかもが“像”である美容院という空間、
全てが“装われた”空間の中で、
ある日突然、その鉄板の“実物感”が私の中に入ってきた。
そのとき初めて、
ああ、『もの派』というのはこういうことなのだな、
と実感として理解した。

だが、それがいいことか悪いことかは、わからない。
物質素材を実感として体験しきれない、ということが、
私という人間を形づくっていたのだから。

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何かがわからない苦しみについては、
ゼロの激痛」で書いた。
しかし、美的な何かが分かり始めたとしても、
それによってよりよい音楽が作れるのかというと、
よくわからなくなる。

結局は、塞翁が馬、ということか。

穢土 

なぜグルジェフは、中年以降沈黙したのか。
なぜノヴァーリスは、夭折したのか。

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グルジェフは人間の感情の低次の動きを徹底的に攻撃した。
そして、後年、沈黙した。
ノヴァーリスは人間の感情の低次の動きを静かに観察した。
そして、そのまま、夭折した。

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自分の深層心理に至るのは命がけだが、
自分の消費者心理に至るのには、命がいくつあっても足りない。

自分の一番醜く卑しい部分を、発見して、体験して、生きるということ。
タルコフスキーは、登場人物に、
「そんなもの見るくらいなら飲んだくれてた方がましだ」
と言わせている。

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貨幣は、人間の最も低次の感情の動きからできている。
「貨幣に神が刻印されていないのは、人類にとって不幸なことだ」
といったのは、ビトルストンだったろうか。忘れてしまった。
あれは拝金主義のことではなくて、
貨幣というものに、神々が本質的に手出しができないということではないか。

キリストは、銀貨30枚で売られた。

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知らないほうが幸せなことは、確かにある。

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天皇陛下がお言葉を発するということ。
貨幣を発行するということ。
地域通貨を発行するということ。
「我々一人ひとりがスメラノミコトになっていかなければならない」といったのは、誰だったろうか。

経済の最終形態が「友愛」であるというのは、
高邁すぎて、なんの役にも立たないと見做されつつも、
理論としては多くの知識人に納得されている。
ここに、霊我(マナス)の形成が絡んでいるとすると、
我々が個人としてやらなければならないことが何なのか、
おぼろげに判ってくる。
そして、それが、一個人の一生涯では全然成し遂げられないことも、
判ってくる。

私たちは、現に、生活の中で、一身を処することすら、ままならないのだ。

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こうしている間にも、ミツバチは失踪し、
大地は慄き、
大空は風向きを変えて行く。