終了:「元型ドローン(Vol,1)」
- [2011/05/30 15:01]
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ライブのお知らせ
ライブやります。
舟沢虫雄
電子即興ライブ「元型ドローン」(vol,1)
2011年5月29日(日)18:00~ ¥500
会場:東京 六本木 ストライプハウスギャラリー
東京都港区六本木5-10-33 3F
舟沢虫雄
電子即興ライブ「元型ドローン」(vol,1)
2011年5月29日(日)18:00~ ¥500
会場:東京 六本木 ストライプハウスギャラリー
東京都港区六本木5-10-33 3F
- [2011/05/19 23:21]
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白榊ケイ「剥製にされた夏2011」
- [2011/05/18 19:42]
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つり銭とバックアップ
つり銭ひとつとってみても、
とても色々なことを考えなければならない。
料金千円の公演の場合、
大抵のお客さんは千円札だろうけれど、
1万円札を出すお客さんはいるだろうか。
いやしないさ、なんて考えるわけにはいかない。
いると考えれば、つり銭として最低9千円は持参しなければならない。
それは千円札9枚でいいのか。
つり銭が細かいのを怒るお客さんはいるだろうか。
5千円札も用意すべきか。
そもそも、2度連続で1万円を出すお客さんが来たらどうするか。
以前、ライブをやったとき、
考えた結果、確か、
「最初に2連続で1万円札のお客さんが来ても大丈夫なように」
とつり銭を組み立てて、
受付をやってくださる方にお渡ししたと記憶している。
開演前、精神統一している最中に、
なにやら舞台監督と受付さんが話している。
舞台監督がやってきて、
「舟沢。ほら、よーく、考えてごらん?
はいっ。最初に1万円のお客さんが来ましたー。
はいっ。次も1万円のお客さんが来ましたー。
はいっ。そのまた次も1万円のお客さんがきましたー。
さて。手元のお金で、おつり、渡せるかなー?」
ポケットの中に運よく5千円札や千円札で1万円あったので、
それを渡したら、去っていった。
なぜ受付さんや舞台監督が、
1万円札のお客さんが2人想定では危険で、
3人想定なら安心と考えたのか、
それは今でもわからない。
お客さんが1万円札で20人来る事だって、
数学的には起りうることだ。
どこかに想定ラインを引かなければならない。
想定ラインを上げればあげるほど、
持ち歩く現金はおかしくなっていく。
------------------------
公演のバックアップというのは、
どのくらいやるべきものだろう。
以前、舞台音響にノートパソコンを使用している人が、
CDプレーヤーを持ち込んでいて、
その中には「音響っぽいノイズ」が入っていて、
パソコンが本番中にフリーズしたら、
復帰するまでそのCDをかけておくのだ、
と笑っていたことがある。
大きなコンサートでは、
そっくり同じ曲が裏で同時に作動し、
演奏が止まったら咄嗟に演奏してるフリに切り替えて、
録音を流すようにしてある、ということもよくあるようだ。
さらに大きな、ドームでやるようなコンサートだと、
そのバックアップシステムは、
停電に備えて、持参した発電機で動かしていることもあるそうだ。
個人で公演をする際、
もちろん、発電機を持参することはできない。
どの程度のトラブルを想定するべきなのだろう。
とりわけ、PA(音響)システム。
小規模PAシステムの場合、
パワードミキサー+内臓エフェクター+スピーカー
という可搬システムがあるのを知った。
「それが壊れる」というのは想定すべきなのだろうか。
頭の中で複雑なパズルを行なう。
いや、複雑ではないのかもしれないが、
私にとっては十分に複雑である。
↓
PAシステムのほかに、
キーボードアンプを買って、
それを持ち込むべきではないのか
↓
そうすると、一人の人間が電車で運ぶ量ではなくなってしまうし、
狭い会場の音場も崩れがちになるぞ。
↓
いや、2日に分けて持ち込めば何とかなるんではないか。
↓
いやー、2日かけて機材を電車でピストン運搬、
搬出も2日かけることになるかー。
↓
そもそも電源が抜けたら両方とも音が出なくなるではないか。
電源が抜けるトラブルって決して珍しいことではなくって、
若い頃音響をやってたころだって、
コンセントをガムテープを貼って抜けないように留めるときに、
「心を込めて貼れーっ!」
って先輩の皆さんに怒鳴られ続けたではないか。
↓
あ、タップを別にすれば抜けるリスクも半分か。
でもケーブルは倍か。
↓
会場の規模から考えて、コンセントは“心を込めて”ガムテで貼れば、
抜けても動くシステムは考えなくてもいいだろう。
PAシステムだけが動かないケースを、考えるべきだろうか?
↓
そうか。PAシステムがトラブったときに、
手元のモニタースピーカーが鳴ってれば、
会場が狭ければそれでも音は成立するじゃないか。
↓
あれ?配線考えたら、PAのセンドからモニタースピーカー
鳴らそうとしてるよな。これ、PAが壊れたら、
モニタースピーカーも鳴らなくなるじゃないか。
この配線じゃ意味無いぞ。
↓
ああ、モニタースピーカーからパラアウトして、
PAに送ればいいのか。
↓
あれ、それじゃミキサーが必要になって、
実質小規模PAが2系統まるまる必要になるのと
同じじゃないか。そんなもの電車で持ち運べないよ。
↓
あ、もしかしてパラアウトを内蔵してるキーボードアンプ
とかあるのかな?それをモニターにすればリスク軽減できるかな?
↓
あー。希望の大きさのものはパラアウト付いてなくって、
パラアウトつきのものはPAシステムとほとんど同じ大きさじゃないかー。
↓
あれ、そもそもエフェクトをPAシステムに任せてたら
モニターはだめじゃないか
↓
モニターだからエフェクトなしでもいいんじゃないのか?
↓
いや、バックアップを兼ねてるわけだし、
会場が小さければ両方のエフェクトが揃ってないと
音場がますますおかしくなるぞ?
↓
まてまて、そもそもPAシステムがダウンするリスクって、どのくらい?
経験したことがないぞ?
おれはただの心配性なのか?
今までの数少ないライブだって、
PAが壊れたことは一度もないぞ?
↓
‥‥…
という終わらない思考の中にいる。
どこかで線を引いて、決断しなくちゃならない。
詳細近日。
とても色々なことを考えなければならない。
料金千円の公演の場合、
大抵のお客さんは千円札だろうけれど、
1万円札を出すお客さんはいるだろうか。
いやしないさ、なんて考えるわけにはいかない。
いると考えれば、つり銭として最低9千円は持参しなければならない。
それは千円札9枚でいいのか。
つり銭が細かいのを怒るお客さんはいるだろうか。
5千円札も用意すべきか。
そもそも、2度連続で1万円を出すお客さんが来たらどうするか。
以前、ライブをやったとき、
考えた結果、確か、
「最初に2連続で1万円札のお客さんが来ても大丈夫なように」
とつり銭を組み立てて、
受付をやってくださる方にお渡ししたと記憶している。
開演前、精神統一している最中に、
なにやら舞台監督と受付さんが話している。
舞台監督がやってきて、
「舟沢。ほら、よーく、考えてごらん?
はいっ。最初に1万円のお客さんが来ましたー。
はいっ。次も1万円のお客さんが来ましたー。
はいっ。そのまた次も1万円のお客さんがきましたー。
さて。手元のお金で、おつり、渡せるかなー?」
ポケットの中に運よく5千円札や千円札で1万円あったので、
それを渡したら、去っていった。
なぜ受付さんや舞台監督が、
1万円札のお客さんが2人想定では危険で、
3人想定なら安心と考えたのか、
それは今でもわからない。
お客さんが1万円札で20人来る事だって、
数学的には起りうることだ。
どこかに想定ラインを引かなければならない。
想定ラインを上げればあげるほど、
持ち歩く現金はおかしくなっていく。
------------------------
公演のバックアップというのは、
どのくらいやるべきものだろう。
以前、舞台音響にノートパソコンを使用している人が、
CDプレーヤーを持ち込んでいて、
その中には「音響っぽいノイズ」が入っていて、
パソコンが本番中にフリーズしたら、
復帰するまでそのCDをかけておくのだ、
と笑っていたことがある。
大きなコンサートでは、
そっくり同じ曲が裏で同時に作動し、
演奏が止まったら咄嗟に演奏してるフリに切り替えて、
録音を流すようにしてある、ということもよくあるようだ。
さらに大きな、ドームでやるようなコンサートだと、
そのバックアップシステムは、
停電に備えて、持参した発電機で動かしていることもあるそうだ。
個人で公演をする際、
もちろん、発電機を持参することはできない。
どの程度のトラブルを想定するべきなのだろう。
とりわけ、PA(音響)システム。
小規模PAシステムの場合、
パワードミキサー+内臓エフェクター+スピーカー
という可搬システムがあるのを知った。
「それが壊れる」というのは想定すべきなのだろうか。
頭の中で複雑なパズルを行なう。
いや、複雑ではないのかもしれないが、
私にとっては十分に複雑である。
↓
PAシステムのほかに、
キーボードアンプを買って、
それを持ち込むべきではないのか
↓
そうすると、一人の人間が電車で運ぶ量ではなくなってしまうし、
狭い会場の音場も崩れがちになるぞ。
↓
いや、2日に分けて持ち込めば何とかなるんではないか。
↓
いやー、2日かけて機材を電車でピストン運搬、
搬出も2日かけることになるかー。
↓
そもそも電源が抜けたら両方とも音が出なくなるではないか。
電源が抜けるトラブルって決して珍しいことではなくって、
若い頃音響をやってたころだって、
コンセントをガムテープを貼って抜けないように留めるときに、
「心を込めて貼れーっ!」
って先輩の皆さんに怒鳴られ続けたではないか。
↓
あ、タップを別にすれば抜けるリスクも半分か。
でもケーブルは倍か。
↓
会場の規模から考えて、コンセントは“心を込めて”ガムテで貼れば、
抜けても動くシステムは考えなくてもいいだろう。
PAシステムだけが動かないケースを、考えるべきだろうか?
↓
そうか。PAシステムがトラブったときに、
手元のモニタースピーカーが鳴ってれば、
会場が狭ければそれでも音は成立するじゃないか。
↓
あれ?配線考えたら、PAのセンドからモニタースピーカー
鳴らそうとしてるよな。これ、PAが壊れたら、
モニタースピーカーも鳴らなくなるじゃないか。
この配線じゃ意味無いぞ。
↓
ああ、モニタースピーカーからパラアウトして、
PAに送ればいいのか。
↓
あれ、それじゃミキサーが必要になって、
実質小規模PAが2系統まるまる必要になるのと
同じじゃないか。そんなもの電車で持ち運べないよ。
↓
あ、もしかしてパラアウトを内蔵してるキーボードアンプ
とかあるのかな?それをモニターにすればリスク軽減できるかな?
↓
あー。希望の大きさのものはパラアウト付いてなくって、
パラアウトつきのものはPAシステムとほとんど同じ大きさじゃないかー。
↓
あれ、そもそもエフェクトをPAシステムに任せてたら
モニターはだめじゃないか
↓
モニターだからエフェクトなしでもいいんじゃないのか?
↓
いや、バックアップを兼ねてるわけだし、
会場が小さければ両方のエフェクトが揃ってないと
音場がますますおかしくなるぞ?
↓
まてまて、そもそもPAシステムがダウンするリスクって、どのくらい?
経験したことがないぞ?
おれはただの心配性なのか?
今までの数少ないライブだって、
PAが壊れたことは一度もないぞ?
↓
‥‥…
という終わらない思考の中にいる。
どこかで線を引いて、決断しなくちゃならない。
詳細近日。
- [2011/05/13 13:43]
- 技術寄りの話 |
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ふつう
知人のミュージシャンに、天才がいる。
その人を傍から見ていると、
一体どうしてそれほどのことをこなせるのか、
皆目解らない。
どんどんソフトウェアの使用法を覚える。
どんどん新しいPCを買って、
どんどんCPUを分散させてネットワークを構築する。
どんどん自分のブーススタジオを模様替えして、
どんどん鍵盤を弾いて、
どんどんトラックを増やし、
ものすごい曲を、どんどん作る。
それらを、4人の子供の父親として、こなす。
その片手間に、
全く触ったことのなかった、
ギターやベースやウクレレの練習を始め、
またたく間に上達し、
自分の曲(もちろん商用)のレコーディングに使うようにまでなってしまった。
そのまた片手間に、
かなりの量の文章をコンスタンスに書き、
それを匿名ブログで公開し続けている。
これらもろもろのことをこなしながら、
マイホームを建てて、
恬淡としている。
活発に貪欲にこなしているのではなく、
淡々とこなして見えるところが、私には皆目解らない。
一体どうすればそれほどの仕事をこなせるのか、
訊いてみたことがある。
「どうすればって、普通ですよ。
普通に鍵盤弾いてたら、普通に、曲、できるじゃないですか。
それ、普通に、録音するじゃないですか。
ふつうに触ってれば、ふつうにパソコンって覚えるじゃないですか。
で、ふつうにしてたら、結婚とかするじゃないですか。
で、ふつうにしてたら、ふつうに子どもができて、
ふつうにしてれば「家買いませんか」って銀行の人が来て、
ふつうにしてれば家が建つじゃないですか。
で、ふつうにしてれば興味ある楽器とかできて、
ふつうに調べればどれを買えばいいのか解って、それ、買うじゃないですか。
それを手元においておけば、ふつうに手が出て、
触ってるうちに、ふつうにうまくなっていくじゃないですか。
で、売り物に入っててもおかしくないとこまでになったら、
ふつうに弾けばふつうに録音できるじゃないですか。
ぜんぶ、普通ですよ。」
------------------------
話は1980年代に飛ぶ。
当時は「マニピュレーター」と呼ばれていた。
今で言うと、「シンセサイザー・プログラマー」。
シンセサイザーを使って、音色を作り、
ミュージシャンに提供する仕事。
私はそれを目指していて、
とあるマニピュレーター氏に弟子入りする機会を得た。
当時の自分としては、「マニピュレーターか、死か」
と思うくらいの熱意と覚悟で弟子入りに臨んだのだが、
1~2週間ほどで、そのマニピュレーター氏に、
「きみ、いくらなんでも、やる気がなさ過ぎる」
と言われたことを思い出す。
どんな仕事でもそうなのかもしれないが、
厳しいのは、その仕事の“真髄”とは違う場所にあるらしい。
マニピュレーターの場合、私にとって過酷だったのは、
睡眠時間であった。
朝10時からの仕事が長びいてしまって、
翌朝10時の仕事に遅れそうになってしまうようなスケジュール。
当時の一流マニピュレーターは、
一日15分の仮眠などで日々を暮らしていたのではないだろうか。
身命を賭して臨んだ仕事にやる気すら疑われて就けなかった悔恨は消えないものの、
多くの睡眠を必要とする自分には不向きだったということも、今となっては認めざるを得ない。
私は、マニピュレーターに、なれなかった。
月日が流れ、過日、そのマニピュレーター氏が、
ツイッターをやっておられるのを発見した。
見てみると、
「しまった、休日だからといって、4時間も眠ってしまった」
などとつぶやいておられる。
で、睡眠について少し調べてみたら、
生まれつき睡眠時間が少なくていい体質の人、というのがいるらしい。
おそらく、そのマニピュレーター氏も、そうなのだろう。
4時間眠って「時間がもったいない」と残念がるほどの短い睡眠時間が、
その方の「普通」だ、ということらしい。
------------------------
一体どうすればそうなれるのか、
とても人間業ではないような生活をする人に、
何度も出会ってきた。
一体どうすればこんなものが作れるのかという、
考えられないようなものを、
沢山、見たり聴いたりしてきた。
もしかしたら、みんな、
ふつうにしてた だけなのかもしれない。
------------------------
以前も書いたが、「無事禅」という言葉がある。
何もかもあるがままでいいのなら、
初めから何もしなくていいのと同じ。
人間らしさというか、「人生らしさ」というのは、
しばしば「ふつうではない」ところ、
あるがままではない、不自然な場所に生じる。
自然と不自然について、
どう捉えたらいいのだろう。
時々、わからなくなる。
その人を傍から見ていると、
一体どうしてそれほどのことをこなせるのか、
皆目解らない。
どんどんソフトウェアの使用法を覚える。
どんどん新しいPCを買って、
どんどんCPUを分散させてネットワークを構築する。
どんどん自分のブーススタジオを模様替えして、
どんどん鍵盤を弾いて、
どんどんトラックを増やし、
ものすごい曲を、どんどん作る。
それらを、4人の子供の父親として、こなす。
その片手間に、
全く触ったことのなかった、
ギターやベースやウクレレの練習を始め、
またたく間に上達し、
自分の曲(もちろん商用)のレコーディングに使うようにまでなってしまった。
そのまた片手間に、
かなりの量の文章をコンスタンスに書き、
それを匿名ブログで公開し続けている。
これらもろもろのことをこなしながら、
マイホームを建てて、
恬淡としている。
活発に貪欲にこなしているのではなく、
淡々とこなして見えるところが、私には皆目解らない。
一体どうすればそれほどの仕事をこなせるのか、
訊いてみたことがある。
「どうすればって、普通ですよ。
普通に鍵盤弾いてたら、普通に、曲、できるじゃないですか。
それ、普通に、録音するじゃないですか。
ふつうに触ってれば、ふつうにパソコンって覚えるじゃないですか。
で、ふつうにしてたら、結婚とかするじゃないですか。
で、ふつうにしてたら、ふつうに子どもができて、
ふつうにしてれば「家買いませんか」って銀行の人が来て、
ふつうにしてれば家が建つじゃないですか。
で、ふつうにしてれば興味ある楽器とかできて、
ふつうに調べればどれを買えばいいのか解って、それ、買うじゃないですか。
それを手元においておけば、ふつうに手が出て、
触ってるうちに、ふつうにうまくなっていくじゃないですか。
で、売り物に入っててもおかしくないとこまでになったら、
ふつうに弾けばふつうに録音できるじゃないですか。
ぜんぶ、普通ですよ。」
------------------------
話は1980年代に飛ぶ。
当時は「マニピュレーター」と呼ばれていた。
今で言うと、「シンセサイザー・プログラマー」。
シンセサイザーを使って、音色を作り、
ミュージシャンに提供する仕事。
私はそれを目指していて、
とあるマニピュレーター氏に弟子入りする機会を得た。
当時の自分としては、「マニピュレーターか、死か」
と思うくらいの熱意と覚悟で弟子入りに臨んだのだが、
1~2週間ほどで、そのマニピュレーター氏に、
「きみ、いくらなんでも、やる気がなさ過ぎる」
と言われたことを思い出す。
どんな仕事でもそうなのかもしれないが、
厳しいのは、その仕事の“真髄”とは違う場所にあるらしい。
マニピュレーターの場合、私にとって過酷だったのは、
睡眠時間であった。
朝10時からの仕事が長びいてしまって、
翌朝10時の仕事に遅れそうになってしまうようなスケジュール。
当時の一流マニピュレーターは、
一日15分の仮眠などで日々を暮らしていたのではないだろうか。
身命を賭して臨んだ仕事にやる気すら疑われて就けなかった悔恨は消えないものの、
多くの睡眠を必要とする自分には不向きだったということも、今となっては認めざるを得ない。
私は、マニピュレーターに、なれなかった。
月日が流れ、過日、そのマニピュレーター氏が、
ツイッターをやっておられるのを発見した。
見てみると、
「しまった、休日だからといって、4時間も眠ってしまった」
などとつぶやいておられる。
で、睡眠について少し調べてみたら、
生まれつき睡眠時間が少なくていい体質の人、というのがいるらしい。
おそらく、そのマニピュレーター氏も、そうなのだろう。
4時間眠って「時間がもったいない」と残念がるほどの短い睡眠時間が、
その方の「普通」だ、ということらしい。
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一体どうすればそうなれるのか、
とても人間業ではないような生活をする人に、
何度も出会ってきた。
一体どうすればこんなものが作れるのかという、
考えられないようなものを、
沢山、見たり聴いたりしてきた。
もしかしたら、みんな、
ふつうにしてた だけなのかもしれない。
------------------------
以前も書いたが、「無事禅」という言葉がある。
何もかもあるがままでいいのなら、
初めから何もしなくていいのと同じ。
人間らしさというか、「人生らしさ」というのは、
しばしば「ふつうではない」ところ、
あるがままではない、不自然な場所に生じる。
自然と不自然について、
どう捉えたらいいのだろう。
時々、わからなくなる。
- [2011/05/04 21:41]
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