欠落と自然 



ある種の決定的な欠落に対して、
どのように振る舞うか、について。

距離を取る、という方法がある。

しかし、ある種の決定的な欠落は、
距離を取ることをやめ、身を挺した時に、
初めて明らかとなる場合がある。

身を挺した対象が虚無であった場合は、どうか。

実は、自然に身を置く、という方法がありうる。
理由は、わからない。

発展途上ビッグデータ 

ずいぶん前のことだが、
プロバイダからメールが来た。
「ビッグデータを取ります。個人情報保護法は遵守します。」
私の見たサイトや、私が送受信しているメールの内容を、
個人情報を特定しないような方法で機械に読み取らせ、
それを広告などに利用する、ということ。

別に、「怖い」とは思わなかった。

が、「個人情報を特定せずにデータを解析し、
それを広告に役立てるプログラム」が、
かなり“発展途上”のようで、ときどき、滅入ることがある。

私は、メールで、「ドローン(持続音)」という言葉をよく使う。
ライブで「元型ドローン」というシリーズをやっているので、
その打ち合わせのためである。

するとどうなるか。
「カードローン」の広告が増える。
ポータルサイトに行くたびに、
「またカードローンの審査に落ちたの?」
みたいなコピーの広告を見なければならなくなる。

また、ビッグデータのプログラムは、私のことを、
「中年」だとは認識したようだが、
「性別」はまだ判別できていないらしい。
中年男性向けであろう、
「フサフサに!」とか「妻が満足!」といった広告と、
中年女性向けであろう、
「オバサン体型が!」「旦那が!」といった広告が、
概ね、交互に表示される。

困り果てたのは、募金をつのる広告であった。
最初、とあるNPOの「恵まれない子供がどんどん死んでます」的な広告が出たときは、それほど気にしなかった。
ああ、私が何かというと災害などに対してポイントなどで募金をするので、
ビッグデータのプログラムが「募金する人」と認識したのだろうな、、
そんな程度の認識だったし、いまもそんなところだろう、と思っている。

困ったのは、表示される回数であった。
ポータルサイトを開くたびに、毎回、一番大きなバナーとして、
ひたすら表示され続けたのである。
メールチェックするたび、ブラウザのスタート画面を開くたびに、
痩せた子供がじーっとカメラ目線でこっちを見つめていて、
「●秒に1人死んでます。募金はこちら」
という広告を見せられるのは、さすがにつらい。

1か月ほど毎日毎回そんな広告を見せられて、
たまらなくなって、人に相談したりしたら、
Adblockというアドオンを教えてもらった。
ブラウザのバナー広告をブロックしてしまうプログラム。

使ってみて分かったのは、
・ブラウザによってはちゃんと作動しない。
・作動しても、稀に、サイトのレイアウトが大幅に崩れる場合がある。
といったところだろうか。(状況に応じてオンオフできる。)

そのAdblockを使い始めた初期の段階で、一度だけ、その
「子供が死んでるから募金してください」的な広告が出ていた場所に、
バグか何かのように、
「NPOマーケティングプログラム」
とかいう文字が表示された。(2度と出なかったけれど)

これは私の想像だが、
NPOが広告代理店に広告を依頼した後、
どこかの段階で、NPOにお金が入りやすくなる
ビッグデータを活用したプログラムが介入し、
そのプログラムが集中砲火のように私に広告を浴びせてきた、
そんなところではないだろうか。

PCのブラウザでその広告を見ることはなくなったし、
スマホで開いたときには見えていたその広告も、
1~2か月で消えたと思う。
その「マーケティングプログラム」が進化したのか、
そのNPOが広告に予算を出すのをやめたのか、
私にはわからない。

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広告は、しばしば、非常に便利なものである。
今でも、
「そんな大事なこと、なんで広告で教えてくれなかったっ」
と直前・直後に慌てるような広告不足の経験もあるので、
これからも広告は大事なものであろう。

あとは、ビッグデータの進化と、その利用法の進化、
その解析と、広告表示プログラムの健全な進化を、
願うばかりである。