不平 

夜の彼岸のジャケットについて。
あれは、水墨画用の紙に、水墨画用の墨と日本画用の画材で、
一枚一枚手描きで作りました。
ものすごく悩みながら。

何を描くべきかが明確に出来上がっているけど、
それが一見不恰好に見えてしまうということに、
あらかじめ気付いていたからです。

私はなんとか、“見栄え”というものと折り合いをつけようと考えました。

これでは片面だけ画像にしたときの見栄えが悪い、
だからネット通販するときに売りづらいから何とかしろ、
こんな線ではだらしなく見えてしまう、
こんな薄い墨ではやぼったく見える、
もっと明快に力強く筆を運んで、
スーラージュの線みたいに描けば、
すこしは人々の食指も動くんじゃないのか、


一枚一枚、いちいち悩んで描いてました。

悩んでも悩んでも、無意味でした。
私が描く前に、あの線は、私の脳裡ですっかり決まってしまっていたからです。
私は私自身を、全然説得できませんでした。

あのDVDは、ジャケットからメニュー画面から中のブックレットまで、
全部含めて「夜の彼岸」です。
なんとなく作ったところは、一箇所もありません。
全てが符合するように作ってあります。

完売したら、中に入っている映像作品「聖域にて」も、
ネットで配信しようかな、とか思ってました。
でも、さっぱり売れないので、あれ、配信しません。

てゆうか、各映像や音、ブックレット、詩、
メニュー画面、ジャケットに至るまで、
全部ひっくるめて一つの作品と言いうるところまで作りこまれていて、
それが何を指し示すのか、うっすらと具象性すらそなえているんだから、
私があのジャケットに何を描いたのか、

一人くらい気付いたっていいじゃないですか。

すいません。
ちょっと不平でした。
ごめんなさい。

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