虫っぽい日々の雑感 

疲れ果てて駅に座っていたら、足元を一匹の甲虫が歩いて行った。
その歩く姿を見て、しみじみ、
「ああ、虫って、いいなぁ」
と思った。
なんだかよくわからないが、
子供のころ、虫が好きだった感情がよみがえってきたのだ。

と同時に、なんだか、自分がどこか、虫っぽいことに気づいた。
昆虫の行動パターンと、自分の行動パターンには、
どこか似たところがある。
そんなことを考えて「虫雄」を名乗っていたわけではないけれど、
自分の行動が昆虫的であることに気付いたので、
やはりこの名前に間違いはなかったのだろう。

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年をとるにつけ、虫は必ずしも好きな動物ではなくなってきたのだが、
それでも私は、犬や猫よりは、魚やクラゲなどを好む。
人間に近い動物ほど興味が薄れるのかもしれない。
あるいは、感情~アストラル的なるもの~に対する感受性が、
生来弱いのかもしれない。
昔、喘息だったし。
(アストラル体と腎臓・副腎と喘息と多血質との関係は、
ホルツアッペル「体と意識をつなぐ四つの臓器」を参照のこと)

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そんなことを言いながらも、
禅師宅の猫とは友達だし、
病院前に繋がれて吠えていた犬は、撫でる。

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要するに、この年齢になってやっと、
アストラル体が“どうにかなる”ようになってきたらしい。
これには、猛烈に苦しいイニシエーションが必要だったし、
これからも苦悶の秘儀は続くのだろう。

「復讐をすることは美徳だ」という神と、
「復讐をしないことは美徳だ」という神がいて、
古代ギリシャのある時期から矛盾する2種類の神が人間に対して拮抗するようになった、
というのをどっかで読んだ。
どこで読んだかは、忘れてしまった。

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monotronは非常に使い甲斐があると思ったのだが、
ふと検索かけたら、すでに詳しい人々が改造合戦を繰り広げていて、
ここで競争しても無意味か、と滅入る。
が、禅師に、
「それは、キミがやることかい。
改造している人々は、キミみたいな音楽を作るのかい。」
と言われて、ちょっと思い直す。

それでも、
これに見合った奏法を見い出し、修練し、
これに見合った録音法を考え、
これに見合ったメロディを生み出し、
多重録音し始める頃には、
monotronは壊れて、買い換えたくても生産中止になっているかもしれない。

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つまり、さっさとやらねば生き残れないのだが、
さっさとやるようには、魂が出来ていない。

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リボンマイクが欲しいのだが、
リボンマイクの音が欲しいのであって、
録りたい音があるわけでもなく、
生音を録れるような自宅でもない。

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最新のオーケストラ音源でも買おうか、
という思いもあるにはあるが、
がんばってシステムを構築して、
がんばって使い方を覚えて、
ハリウッドにも負けない、
「どこにでもある音楽」を作れるようになって、
それでどうなるのか、という思いもある。

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知り合いのミュージシャンが、
本業ではない楽器を熱心に練習して、
ちょっとしたレコーディングなら自力で済ませられるところまで上達した。
なぜそんなに練習する努力ができて、
しかも上達ができるのか訊いてみたら、
「なぜって、そこに楽器かあるから触りたくなるんで、
触ってるうちに練習したくなって、
練習してるうちになんだかうまくなるんですよ。
舟沢さん、やんなきゃいけないんじゃないか、っていう、
強迫観念みたいので練習してません?」
と言われた。

強迫観念ナシに練習するなど、
考えてみたこともなかったので、
考え込んでしまう。
人間の種類が違うといえば、それまでなのだけれど。

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なんだかんだいって、
やりたいようにやることかもしれない。
無理をしても、沈む船にしがみついてるだけかもしれない。
(それが無意味かどうかは別として。)
しかし、自在の境地など、
書道なら70以降までかかってあたりまえだそうだし、
私の場合、自分の楽器が半年先にもまだ動くかどうかも、解らない。

そういうわけで、色々なことを、困っている。

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