古文書に勘違いが 

禅師から興味深いお話を伺かがった。

ここではその古文書の題名を伏せるが、
禅を志す人間にはそれなりに知れている、
ある古文書があるそうだ。

わが禅師は、
その古文書に書かれている、とある部分とそっくり同じ体験をしたそうである。
それはある種の神秘体験ともいえそうな体験なのだが、
鍼灸師でもある禅師は、その体験をしたときに、

「ああ、これ、根を詰めて坐っておきた、脳のうっ血だ。」

と思われたのだそうだ。

眉間の奥の辺りで華々しく火花が散り、
その光が鼻のほうに降りてくる。
その後数日間、しばらく幻を見るようになると。

時期的には、禅師が脳梗塞を患われた後で、
なおかつ糖尿病による眼底出血を起こされる前の時期である。

「いやぁ。偉い人が書いた古い有名な書物でも、
勘違いってのはあるんだねぇ。
なんたって当時の時代が時代だからねぇ。
当時は脳のうっ血も脳梗塞も眼底出血もわかんなかったろうしなぁ。」

というような意味のことを仰せであった。

大切に後世に伝えられてきた古文書であっても、
その古文書内の個別の内容一つ一つに関しても、
玉石混交には変わりないのか。
なるほど。

後世に残してきた人々の行いの尊さを削ぐものでは決してないものの、
古ければ信頼性が高いわけではない。
そうかといって、
新しければ正しいってわけでもない。
あたりまえだが、そういうことなのだろう。

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