繋がる不幸 

コルグのA2について公式サイトに書いてからというもの、
アクセス解析を見ていると、
【KORG A2】で検索して訪れる人が多くて驚いている。

そういえば近所の楽器屋さんに、

「KORGのA2を長年使っていて、
自分自身の延長のようになってしまったのだけれど、
古いものだし、音や機能が近い製品があるのなら買い換えたい」
と相談したとき、

「そういう人がとても多いらしくて、
おなじ相談をよく受けるのですが、
似たものがぜんぜん無いのが現状なんです」
と答えられた。

自分の身体や、自分の魂の延長上に、
物質があるのはつらい。
しかも、本人にしかこのつらさがわからないから始末が悪い。

ある作家さんが書いてらしたが、
とある小説家さんが、
特定のワープロのキー配列と自分の言葉や魂を繋げてしまったので、
そのワープロが生産中止になったとき、
一生分の同じワープロと消耗部品を買い込んだそうだ。
―私には、理解することが出来ない。

ジャズの方にも聞いた事がある。
あるサックスと自分の魂と指が繋がってしまったので、
一生分のそのサックス専用の交換部品を買い込んだそうだ。
―私には理解することができない。
(指使いが変わるわけじゃなし、などと思ってしまう)

KORGのA2の維持に困ってるとか、
クローマ・ポラリスの維持に苦しんでいるとか、
TX802のRAMカートリッジを探し続けているとか、
外側から見ていて判らない話だろう。ある意味、判らなくて当然だ。

シンセやエフェクターなんか、うっかり自分の思いや魂と繋げてしまうと、
それを一生分買っておけるほどの金持ちでもない限り、
かなり不幸な思いをする羽目になる。
サックス以上に、音も使い方も、まるで別のものになってしまうのだ。
おまけに、最近のソフトの方が遥かに複雑なことができたりもする。
でも、ソフトなんかに魂が繋がってしまったら大変だ。
ハードよりもずっとずっと寿命が短い。
だからソフトは、なるべくなら使いたくない。使うにしても、
補助的な使い方、あくまでも“操作”的な使い方しか、したくない。
実際、ここ数年、良い音楽をシンセで作る人は、
あらかた“操作”するタイプの人ばかりじゃないか。
それにアナログ部品の低品質化も著しい。
だれもハード買わなきゃ、部品の質なんか維持できなくて当たり前だ。
オーディオインターフェースですら、
既に「インプットの音質が昔のほうが良かった」なんて話が出始めている。
ADコンバータまでのアナログ部品の品質が落ちているのだ。

今、自分が持っているシンセたちに満足しているわけでは全然ない。
でも、ここまでくると、新たにシンセを買い足すのが怖い。
ハードはハードなりに怖いし、ソフトはソフトなりに怖い。
10年以上前のコンピュータやソフトのほうが、
音楽用として優れていたなんて、冗談でもなんでもないことは、
20年以上電子音楽に携わってきた人なら判るだろう。
(私、じつは、理由が判らない。なんでAT○RIは正確だったのか、
なぜアル○ミーはあんなに細部まで行き届いていたのか。
なぜ、今、それができないのか。)

‥おっと、また愚痴ってしまった。
こんなに愚痴ってる私も、何年かしたら、
ノートパソコンに鍵盤繋げて音作ってるのかなぁ‥
‥自分で自分に自信なくなってきた。良くない傾向だ。

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