子音とスピード
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実家に赴くと、ピーピーとアラート音が鳴っている。
見ると、冷蔵庫が開けっ放しになっており、
あれほど電気代、水道代にうるさかった母が、
冷蔵庫を開けっ放しにしてなにやら料理らしきことをしている。
冷蔵庫が“開けっ放しの警告”として、アラームを発しているのだ。
それなりの緊張をもって話しかけてみる。
なぜ冷蔵庫を開けたまま放置しているのか。
元々電気代や水道代にそんなに厳しい人間ではないのだ、
という母の主張はさておき、
冷蔵庫がアラート音を発しているのに、
かまわず冷蔵庫を開けっ放しにしていることについては、
よくそんなの聞こえるな、そんな音が鳴っていたのか、
という。(よかった。認知症ではないようだ)
さらに聞けば、体温計のアラームも聞こえた事がなく、
デイザービスなどでも「あ、聞こえた」と若い職員がてきぱき体温計を取っていく。
若い人にしか聞こえない音ってあるんだねえ、
などと言っている。
その冷蔵庫のアラート音というのは、
4KHzぐらい(ピアノの一番右の「シ」ぐらい)である。
人間が加齢と共に高域から聞こえなくなっていくのはよく知られているし、
言葉の認識に必要な音は6KHzぐらいまでという基準も耳にする。
上限6KHzといえば電話ぐらいだな、
歳を取るって大変だなと、半ば他人事のように知識を吸収していた。
が、今や母は、4KHz、つまり鍵盤の音程で言える帯域まで、
音が聞こえなくなってきているということになる。
高周波の子音ではなく、鍵盤の音域まで難聴が及んでいることに驚き、
手持ちのスマホでピアノアプリを出し、
この音は聞こえるかい、と音域を探っていく。
そもそも「聞こえる」「聞こえない」の返答が曖昧で、
コミュニケーションに難航するが、
結局、ピアノで一番高いソ(ミドルCをC3とした時のG6)、
つまり大まかに言って3KHz辺りまでピアノは「ぴーん」
という音に聞こえていて、その上は「こつ、こつ」と聞こえているという。
つまり、母は音程としては3KHzぐらいまでしか聞こえず、
あとは“打鍵音”などの非・音程成分に含まれる中低域で、
辛うじて音が鳴っていることが認識できているらしい。
------------------------
ほうぼうに書いているが、音は「鳴り始める最初の特徴」と
「音程として感じる平坦な部分」でできていることが多い。
トランペットが「ぱー(PAAAAA)」と鳴っていれば、
その音は鳴り始めに「P」が鳴っていて、「AAA」と
音程が続いているような感じ。
人間の言葉も、「子音」と「母音」でできており、
子音の成分の大半は、高周波である。
(古い音響技師なら「サ行は8KHz」と教わった方も多いだろう)
というわけで、3K以上が聞こえないとなると、
子音がほとんど聞こえないことになり、
そもそも会話が成立していること自体が不思議なぐらいである。
なにが起きているのか、と思ったが、
そこは高齢化社会、ちょっと調べたらサンプルが出てきた。↓
MY介護 高齢者の聞こえ方
↑このページではたと膝を打ったのだが、
高齢者にゆっくりしゃべらなければならないのは、
相手の脳のスピードというより、
“子音を長く聞かせる”という意味合いが大きいのだろう。
S、Hなど、音響の世界では「高周波がないと存在しないに等しい」子音であっても、
僅かに含まれる低域を念入りに聞かせれば、
これは「ア」か、冒頭に子音Sがある「サ」かを、
聞き取ったり、類推したりできるだろう。
高齢者にはゆっくりしゃべって、
聞こえない子音を聞き取りつつ、子音を類推してもらう。
なるほど。そういうことなのか。
------------------------
しかし問題は残る。
アラーム音をどうしたらいいか。
冷蔵庫も体温計も、大抵の家電のアラーム音が、
高齢者には、聞こえない。(3KHzですからね。びっくりです)
今ですらアラーム、ビープ音は聞きたくない人にはうるさすぎ、
電車の中でトラブルになるなど深刻な社会問題なので、
いたずらに音量を上げていいわけがない。
そして体温計の大きさを考えれば解ることだが、
音程を下げればいいわけでもない。
(そんな小さなスピーカーで中低音が豊かに出たら、特許が取れるだろう)
アラームを出すものの種類にもよるが、
冷蔵庫であればアラームをやめてLEDを点滅させるあたりが
現実的かな、とも思うが、もっといいやり方があるかもしれない。
(ちなみに、一定時間を過ぎたら自動で閉まるのはナシです。
開けっ放しにするような高齢者はドアにペットボトルが挟まってても気付きません。)
あとは何が鳴って、何が光って、何が自動停止するのか、
コンフィグできればいいだろう。
設定は身の回りの若い者がやる。
------------------------
余計な音を出さず、必要な音を届ける難しさ。
見ると、冷蔵庫が開けっ放しになっており、
あれほど電気代、水道代にうるさかった母が、
冷蔵庫を開けっ放しにしてなにやら料理らしきことをしている。
冷蔵庫が“開けっ放しの警告”として、アラームを発しているのだ。
それなりの緊張をもって話しかけてみる。
なぜ冷蔵庫を開けたまま放置しているのか。
元々電気代や水道代にそんなに厳しい人間ではないのだ、
という母の主張はさておき、
冷蔵庫がアラート音を発しているのに、
かまわず冷蔵庫を開けっ放しにしていることについては、
よくそんなの聞こえるな、そんな音が鳴っていたのか、
という。(よかった。認知症ではないようだ)
さらに聞けば、体温計のアラームも聞こえた事がなく、
デイザービスなどでも「あ、聞こえた」と若い職員がてきぱき体温計を取っていく。
若い人にしか聞こえない音ってあるんだねえ、
などと言っている。
その冷蔵庫のアラート音というのは、
4KHzぐらい(ピアノの一番右の「シ」ぐらい)である。
人間が加齢と共に高域から聞こえなくなっていくのはよく知られているし、
言葉の認識に必要な音は6KHzぐらいまでという基準も耳にする。
上限6KHzといえば電話ぐらいだな、
歳を取るって大変だなと、半ば他人事のように知識を吸収していた。
が、今や母は、4KHz、つまり鍵盤の音程で言える帯域まで、
音が聞こえなくなってきているということになる。
高周波の子音ではなく、鍵盤の音域まで難聴が及んでいることに驚き、
手持ちのスマホでピアノアプリを出し、
この音は聞こえるかい、と音域を探っていく。
そもそも「聞こえる」「聞こえない」の返答が曖昧で、
コミュニケーションに難航するが、
結局、ピアノで一番高いソ(ミドルCをC3とした時のG6)、
つまり大まかに言って3KHz辺りまでピアノは「ぴーん」
という音に聞こえていて、その上は「こつ、こつ」と聞こえているという。
つまり、母は音程としては3KHzぐらいまでしか聞こえず、
あとは“打鍵音”などの非・音程成分に含まれる中低域で、
辛うじて音が鳴っていることが認識できているらしい。
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ほうぼうに書いているが、音は「鳴り始める最初の特徴」と
「音程として感じる平坦な部分」でできていることが多い。
トランペットが「ぱー(PAAAAA)」と鳴っていれば、
その音は鳴り始めに「P」が鳴っていて、「AAA」と
音程が続いているような感じ。
人間の言葉も、「子音」と「母音」でできており、
子音の成分の大半は、高周波である。
(古い音響技師なら「サ行は8KHz」と教わった方も多いだろう)
というわけで、3K以上が聞こえないとなると、
子音がほとんど聞こえないことになり、
そもそも会話が成立していること自体が不思議なぐらいである。
なにが起きているのか、と思ったが、
そこは高齢化社会、ちょっと調べたらサンプルが出てきた。↓
MY介護 高齢者の聞こえ方
↑このページではたと膝を打ったのだが、
高齢者にゆっくりしゃべらなければならないのは、
相手の脳のスピードというより、
“子音を長く聞かせる”という意味合いが大きいのだろう。
S、Hなど、音響の世界では「高周波がないと存在しないに等しい」子音であっても、
僅かに含まれる低域を念入りに聞かせれば、
これは「ア」か、冒頭に子音Sがある「サ」かを、
聞き取ったり、類推したりできるだろう。
高齢者にはゆっくりしゃべって、
聞こえない子音を聞き取りつつ、子音を類推してもらう。
なるほど。そういうことなのか。
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しかし問題は残る。
アラーム音をどうしたらいいか。
冷蔵庫も体温計も、大抵の家電のアラーム音が、
高齢者には、聞こえない。(3KHzですからね。びっくりです)
今ですらアラーム、ビープ音は聞きたくない人にはうるさすぎ、
電車の中でトラブルになるなど深刻な社会問題なので、
いたずらに音量を上げていいわけがない。
そして体温計の大きさを考えれば解ることだが、
音程を下げればいいわけでもない。
(そんな小さなスピーカーで中低音が豊かに出たら、特許が取れるだろう)
アラームを出すものの種類にもよるが、
冷蔵庫であればアラームをやめてLEDを点滅させるあたりが
現実的かな、とも思うが、もっといいやり方があるかもしれない。
(ちなみに、一定時間を過ぎたら自動で閉まるのはナシです。
開けっ放しにするような高齢者はドアにペットボトルが挟まってても気付きません。)
あとは何が鳴って、何が光って、何が自動停止するのか、
コンフィグできればいいだろう。
設定は身の回りの若い者がやる。
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余計な音を出さず、必要な音を届ける難しさ。
- [2016/08/07 17:18]
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