浸食 



久しぶりに太平洋岸に来てみれば、
なるほど、砂浜は浸食されている。
かつて海岸までしばらく歩いていたような場所でも、
満潮が近づけば、もはや人が立つ場所もない。

海岸浸食。
その原因や対策(の模索)は、
人伝えに聞くこともできるし、
たくさんの記事を読むこともできる。

ただ、自然について、ひいては人間について、
最も深い考察を得ることができたのは、
実際に目の当たりにしたこの光景における、
水の筋であった。

消波ブロックに渾身で突っ込み、
ばらばらになり、激しく、多様かつ一様に、
幾度も引き返していく水の筋。

この水の動きから、
言語化も、数値化もできないものを、
どれほど深く読み取ることができるかということ。

目の前の、あからさまな秘密。

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