写真詩を作らなかった話
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近所でビルの解体をやっている。
その一角だけががれきの山となり、
ビルの壁面だけが残って、
その壁の向こうから日が差している。
美しい。
周囲を見回す。
作業をしている人はいない。
通行人もいない。
スマホを出して、写真を撮る。
がれきを見つめ、日差しを見つめ、
写真を撮り続ける。
ビルの前にライトバンがあるが、
中に人がいるかどうか、ガラスの反射で見えない。
この車がなければもうちょっといい角度から撮れるんだがな、
などとと思いながら、
ライトバンが写らないように工夫しつつ、
がれきを撮る。
写真4枚、トータルで1分ぐらいの出来事だろうか。
ガラスの反射で見えなかったライトバンから、
ただならぬ風体の、初老の男性が出てきた。
「ぁんぁんぉかぉ」と言いながら、
のしのしと、こちらに近づいてくる。
この「ぁんぁんぉかぉ」が、
「何かあんのかよ」、つまり、
「何か用件があるのですか」という意味なのか、
「何か文句あんのかよ」、つまり、
「お前は俺を挑発しているのか」、という意味なのか、
その、まっすぐにこちらを見つめていながら、
それでいて何も見ていないかのような表情からは、
読み取ることはできない。
その男性はみるみるこちらに近づいて、
もう私に手が届くところまで近づいてきた。
私は咄嗟に、以下のように応じたと思う。
「失礼しました。お写真撮らせていただきました。
大丈夫です。あの、風景がきれいだったので、
お写真を撮らせていただいていました。
失礼しました。ありがとうございました。」
男性は「ぁ、ぁ?」と声を出しておられた。
私はお辞儀をしてそこを立ち去ったが、
追いかけてはこなかった。
こちらの、マスク越しの笑顔は、伝わったろうか。
------------------------
一応、咄嗟に、
このような礼儀正しい言動はできるようになった。
大人になったな俺、とは思う。
ただ、突発的な緊張のせいか、
一晩寝ても体のしびれは、まだ取れずにいる。
------------------------
さて、問題はここから。
私はここで撮った写真を、公開してもいいものかどうか。
写っているのは、がれきと重機と、陽の光。
肖像権の問題はない。
ただ、あの男性が私を「無礼な外敵」と見做したのであれば、
この写真をブログにアップするのは失礼なような気もする。
「お写真撮らせていただいております」と言った時も、
納得したような、してないような様子だった。
もう1回同じ場所に行って、
「これインターネットにアップしても構わないですよね」
などと訊いてみるのも手かもしれないが、
インターネットというものを理解しておられるかどうかも、
ちょっとあやしいと思ってしまうような見た目の方であった。
わざわざトラブルを起こしに行くようなリスクを感じなくもない。
単なる風景写真なんだから、難しく考えずに、
黙って公開しちゃえばいいのではないか。
最近、写真に写り込む僅かな情報から、
撮影された場所を特定し、
犯罪に利用するケースがある、
とネットで話題になっている。
自分が撮った写真を見つめる。
がれき。日差し。重機。あとは少しの電線。
これで場所が特定できる人がいるか?
万が一いたとして、私に危害を及ぼすか?
無理なように思う。
どうしたものか、とスマホをピンチアウトしていて、
はたと気づいた。
重機に社名が書いてある。
これをアップロードしたら、
あの男性や、解体業者に迷惑がかかりはしないだろうか。
考えすぎかなぁ。
フォトショップで社名のところだけ消すか。
写真にあんまり極端な細工を施してもなぁ。
考えすぎかなぁ。
------------------------
と、ここまで書いたあと、食料の買い出しがてら、
結局、同じ解体現場まで足を運んでみた。
昨日の男性はおらず、
4~5人の作業服の人々が、
忙しそうに働いておられた。
おそらく昨日は、作業をしていなかったか、
たまたま昼食に出ていたか何かで、
あの男性は「留守番専用の人」だったのだろう。
してみると、作業服も着ておられなかったあの男性の、
「ぁんぁんぉかぉ」という言葉に、
私がかなりの威圧と敵意を感じ取ったのは、
勘違いではなかったのだろう。
(この丹田の奥に穴が空いたような全身のしびれは、相手の敵意によってもたらされたものなのだろう)
きょう作業しておられた人々は、
一番近い人でも鉄柵から数メートル遠く、
非常に忙しそうに背を向けておられたので、
作業の轟音のなか声をかけるのは、
難しい上に迷惑でもあると判断し、
そのままその場を立ち去った。
------------------------
何にも言わず、事情も書かずに、
写真をアップロードしても、
おそらく、誰からも苦情は来ないだろう。
この体のしびれについて口にせず、
詩を書き加えて、
「写真詩」として公開しても、
誰も、いつもと何かが違う、とは思わないかもしれない。
(詩は撮影中に閃いてはいたが、自宅に戻って書き起こしてみると、すでに自分の内面とは乖離したものになっていたのだ)
結局、日常のこうした出来事と、思考の断片を、
こうして書き付けておいた方が、
ブログっぽいよな、と思った次第。
そういうわけで、問題の写真は、
このブログに、アップしません。
ご了承ください。
ブログってもう古いのかなぁ。
古いんだろうなぁ。
------------------------
最近、ツイッターに「フリート」という機能が加わって、
消え去っても構わないものはそこに流せばいい、
ということのようだ。
非公式のツイッターに件の写真を流そうかなぁ。
そんなことをしても、ブログと非公式ツイッターを両方見てる人なんかほとんどいないだろうしなぁ。
フリート機能を「うざい」と一蹴するツイートだって見かけるしなぁ。
考えすぎかなぁ。
その一角だけががれきの山となり、
ビルの壁面だけが残って、
その壁の向こうから日が差している。
美しい。
周囲を見回す。
作業をしている人はいない。
通行人もいない。
スマホを出して、写真を撮る。
がれきを見つめ、日差しを見つめ、
写真を撮り続ける。
ビルの前にライトバンがあるが、
中に人がいるかどうか、ガラスの反射で見えない。
この車がなければもうちょっといい角度から撮れるんだがな、
などとと思いながら、
ライトバンが写らないように工夫しつつ、
がれきを撮る。
写真4枚、トータルで1分ぐらいの出来事だろうか。
ガラスの反射で見えなかったライトバンから、
ただならぬ風体の、初老の男性が出てきた。
「ぁんぁんぉかぉ」と言いながら、
のしのしと、こちらに近づいてくる。
この「ぁんぁんぉかぉ」が、
「何かあんのかよ」、つまり、
「何か用件があるのですか」という意味なのか、
「何か文句あんのかよ」、つまり、
「お前は俺を挑発しているのか」、という意味なのか、
その、まっすぐにこちらを見つめていながら、
それでいて何も見ていないかのような表情からは、
読み取ることはできない。
その男性はみるみるこちらに近づいて、
もう私に手が届くところまで近づいてきた。
私は咄嗟に、以下のように応じたと思う。
「失礼しました。お写真撮らせていただきました。
大丈夫です。あの、風景がきれいだったので、
お写真を撮らせていただいていました。
失礼しました。ありがとうございました。」
男性は「ぁ、ぁ?」と声を出しておられた。
私はお辞儀をしてそこを立ち去ったが、
追いかけてはこなかった。
こちらの、マスク越しの笑顔は、伝わったろうか。
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一応、咄嗟に、
このような礼儀正しい言動はできるようになった。
大人になったな俺、とは思う。
ただ、突発的な緊張のせいか、
一晩寝ても体のしびれは、まだ取れずにいる。
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さて、問題はここから。
私はここで撮った写真を、公開してもいいものかどうか。
写っているのは、がれきと重機と、陽の光。
肖像権の問題はない。
ただ、あの男性が私を「無礼な外敵」と見做したのであれば、
この写真をブログにアップするのは失礼なような気もする。
「お写真撮らせていただいております」と言った時も、
納得したような、してないような様子だった。
もう1回同じ場所に行って、
「これインターネットにアップしても構わないですよね」
などと訊いてみるのも手かもしれないが、
インターネットというものを理解しておられるかどうかも、
ちょっとあやしいと思ってしまうような見た目の方であった。
わざわざトラブルを起こしに行くようなリスクを感じなくもない。
単なる風景写真なんだから、難しく考えずに、
黙って公開しちゃえばいいのではないか。
最近、写真に写り込む僅かな情報から、
撮影された場所を特定し、
犯罪に利用するケースがある、
とネットで話題になっている。
自分が撮った写真を見つめる。
がれき。日差し。重機。あとは少しの電線。
これで場所が特定できる人がいるか?
万が一いたとして、私に危害を及ぼすか?
無理なように思う。
どうしたものか、とスマホをピンチアウトしていて、
はたと気づいた。
重機に社名が書いてある。
これをアップロードしたら、
あの男性や、解体業者に迷惑がかかりはしないだろうか。
考えすぎかなぁ。
フォトショップで社名のところだけ消すか。
写真にあんまり極端な細工を施してもなぁ。
考えすぎかなぁ。
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と、ここまで書いたあと、食料の買い出しがてら、
結局、同じ解体現場まで足を運んでみた。
昨日の男性はおらず、
4~5人の作業服の人々が、
忙しそうに働いておられた。
おそらく昨日は、作業をしていなかったか、
たまたま昼食に出ていたか何かで、
あの男性は「留守番専用の人」だったのだろう。
してみると、作業服も着ておられなかったあの男性の、
「ぁんぁんぉかぉ」という言葉に、
私がかなりの威圧と敵意を感じ取ったのは、
勘違いではなかったのだろう。
(この丹田の奥に穴が空いたような全身のしびれは、相手の敵意によってもたらされたものなのだろう)
きょう作業しておられた人々は、
一番近い人でも鉄柵から数メートル遠く、
非常に忙しそうに背を向けておられたので、
作業の轟音のなか声をかけるのは、
難しい上に迷惑でもあると判断し、
そのままその場を立ち去った。
------------------------
何にも言わず、事情も書かずに、
写真をアップロードしても、
おそらく、誰からも苦情は来ないだろう。
この体のしびれについて口にせず、
詩を書き加えて、
「写真詩」として公開しても、
誰も、いつもと何かが違う、とは思わないかもしれない。
(詩は撮影中に閃いてはいたが、自宅に戻って書き起こしてみると、すでに自分の内面とは乖離したものになっていたのだ)
結局、日常のこうした出来事と、思考の断片を、
こうして書き付けておいた方が、
ブログっぽいよな、と思った次第。
そういうわけで、問題の写真は、
このブログに、アップしません。
ご了承ください。
ブログってもう古いのかなぁ。
古いんだろうなぁ。
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最近、ツイッターに「フリート」という機能が加わって、
消え去っても構わないものはそこに流せばいい、
ということのようだ。
非公式のツイッターに件の写真を流そうかなぁ。
そんなことをしても、ブログと非公式ツイッターを両方見てる人なんかほとんどいないだろうしなぁ。
フリート機能を「うざい」と一蹴するツイートだって見かけるしなぁ。
考えすぎかなぁ。
- [2020/11/28 15:32]
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