ワクチン後の心身
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V・E・フランクル「夜と霧」に、
強制収容所から解放された日の描写があります。
「それほどうれしくなかった」という描写。
あまりにも長く抑圧され、
感情が仮死状態になると、
急には元に戻らないもののようです。
「夜と霧」では、まず体が猛然と食べ物を求め、
「何時間も、何日も」食べ続けたあと、
感情の蘇生が始まっていった描写があります。
そのあとに、「失意」が来るのだそうです。
強制収容所で死線をさまよい、
感情が仮死状態になり、
解放後に食べ物を十分に食べ、
感情が戻り、日常生活が戻っても、
特に苦悩が減っているわけではない、
そういうことに対する失意なのだそうです。
------------------------
舟沢の父は生前、ほとんど戦争の話をしませんでした。
終戦時は予科練にいたとのことで、
戦地には赴いていません。
なので、これから書く父の話は、
当時、近所で起きた話か、
友人の近所で起きた話なのだと思います。
「戦地から痩せて帰ってくるだろ?
将校みたいのはさ、重湯みたいのから始めんだよ。
急に食ったりゃしねえのさ。
それがさ、やっと帰ってきてさ、
今でいうカツ丼みたいな?ああいのをさ、
食べんのが止まんなくなっちゃってさ、
誰だかわかんないぐらい太っちゃってさ、
半年ぐれぇで死んじゃうのがいるんだよ。
病名?昔だからねぇ。病名なんかないよ。
栄養過多みてぇな。」
終戦直後~1950年代前半に、
毎日カツ丼を食べられたご家庭があったとは考えにくいですし、
これを聞いた1970年代の前後、
我が家ではカツ丼風に卵と玉ねぎを甘辛く絡めた、
「卵丼」みたいなものを「かつどん」と呼んでいましたので、
父は当時子供だった私がわかりやすいように、
カロリーが高い食べ物を「かつどん」と呼んだのかもしれません。
------------------------
今、何らかの感情が、
「仮死状態」になっていることは、
自分でも感じますし、
皆さんも多かれ少なかれ似たような状態ではないかと思います。
「今だけの辛抱」という言葉も
さすがに聞き飽きてしまいましたし、
暴走する正義からは距離を取りたいものだ、
とも思います。
安易な励ましは、もはや耳障りですらあります。
だからといって、羽目を外せるわけでもありません。
悩ましいところです。
そして、おそらく、
来年、どこかの段階でワクチンが供給されても、
みんな特に幸せになるわけでも、
あまたの苦悩から解放されるわけでもないのだろう、
ということです。
むしろ、そこでいきなり「ハイカロリーな何か」を大量摂取して、
心身を壊したりしないよう、
自分の感情の中の「仮死状態」の鉱脈を感じ取って、
そこの蘇生が急激なものにならないよう、
心身を管理しておきたいものだなぁ、
それはとても難しいことだけれど、、
――2020の年末、そんなことを考えています。
皆様もどうかご自愛くださいませ。
強制収容所から解放された日の描写があります。
「それほどうれしくなかった」という描写。
あまりにも長く抑圧され、
感情が仮死状態になると、
急には元に戻らないもののようです。
「夜と霧」では、まず体が猛然と食べ物を求め、
「何時間も、何日も」食べ続けたあと、
感情の蘇生が始まっていった描写があります。
そのあとに、「失意」が来るのだそうです。
強制収容所で死線をさまよい、
感情が仮死状態になり、
解放後に食べ物を十分に食べ、
感情が戻り、日常生活が戻っても、
特に苦悩が減っているわけではない、
そういうことに対する失意なのだそうです。
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舟沢の父は生前、ほとんど戦争の話をしませんでした。
終戦時は予科練にいたとのことで、
戦地には赴いていません。
なので、これから書く父の話は、
当時、近所で起きた話か、
友人の近所で起きた話なのだと思います。
「戦地から痩せて帰ってくるだろ?
将校みたいのはさ、重湯みたいのから始めんだよ。
急に食ったりゃしねえのさ。
それがさ、やっと帰ってきてさ、
今でいうカツ丼みたいな?ああいのをさ、
食べんのが止まんなくなっちゃってさ、
誰だかわかんないぐらい太っちゃってさ、
半年ぐれぇで死んじゃうのがいるんだよ。
病名?昔だからねぇ。病名なんかないよ。
栄養過多みてぇな。」
終戦直後~1950年代前半に、
毎日カツ丼を食べられたご家庭があったとは考えにくいですし、
これを聞いた1970年代の前後、
我が家ではカツ丼風に卵と玉ねぎを甘辛く絡めた、
「卵丼」みたいなものを「かつどん」と呼んでいましたので、
父は当時子供だった私がわかりやすいように、
カロリーが高い食べ物を「かつどん」と呼んだのかもしれません。
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今、何らかの感情が、
「仮死状態」になっていることは、
自分でも感じますし、
皆さんも多かれ少なかれ似たような状態ではないかと思います。
「今だけの辛抱」という言葉も
さすがに聞き飽きてしまいましたし、
暴走する正義からは距離を取りたいものだ、
とも思います。
安易な励ましは、もはや耳障りですらあります。
だからといって、羽目を外せるわけでもありません。
悩ましいところです。
そして、おそらく、
来年、どこかの段階でワクチンが供給されても、
みんな特に幸せになるわけでも、
あまたの苦悩から解放されるわけでもないのだろう、
ということです。
むしろ、そこでいきなり「ハイカロリーな何か」を大量摂取して、
心身を壊したりしないよう、
自分の感情の中の「仮死状態」の鉱脈を感じ取って、
そこの蘇生が急激なものにならないよう、
心身を管理しておきたいものだなぁ、
それはとても難しいことだけれど、、
――2020の年末、そんなことを考えています。
皆様もどうかご自愛くださいませ。
- [2020/12/26 17:35]
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